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2010年5月30日 顎関節症をテーマに、日本口腔診断学会で発表を行いました。

日本口腔診断学会の看板前での岩本院長と多田先生
日本口腔診断学会の看板前での
岩本院長と多田先生

平成22年5月30日に、「咬合挙上により習慣性いびきが消失した顎関節症患者の1例」について、下記のような内容を日本口腔診断学会にて報告してまいりました。

【発表要旨】

患者さんは17歳の男性で、右側顎関節部に口をあけると大きな音がすると当院を受診されました。3年前から、開口時に両側顎関節部に雑音を認めており、1年6カ月前頃から右側顎関節部の雑音が大きくなってきたことを自覚していたようですが、様子をみていたところ、1年前から開口時にガコッという大きな音を生じるようになったとのことです。痛みがなかったため経過をみていたようですが、症状が消失しないため、不安になり来院となりました。初診時の所見としては、開口末期に右側顎関節に著明なクリック音を認めていましたが、痛みは認めていませんでした。また、エックス線所見では顎関節部に変形等の異常は認めず、顎関節症Ⅲa型と診断しました。咬み合わせは過蓋咬合が著明であり、咬合挙上を目的とした可撤性プレートを作製し、就寝中のみ使用してもらったところ、1週間後に右側顎関節部のクリック音が消失したうえ、さらに、12歳の頃から継続していた習慣性いびきも消失したと同居されているご家族から打ち明けられました。

学会発表中の多田先生
学会発表中の多田先生

顎関節症の治療で用いられるスプリントやプレートなどの口腔内装置は,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療のひとつである口腔内装置に類似していますが,その際に呼吸に与える影響を考慮して作製することは少ないのではないかと思われます。一方、OSASの治療に用いられる口腔内装置は,患者の身体的負担も軽く,長期コンプライアンスも高いと評価されているものの,歯科医師の認識不足もあり、一般的に普及していないのも現状です。

今回経験した症例は,日常の臨床において,患者さんに装着させるスプリントやプレートなどが,呼吸へも影響を及ぼす場合があることを示唆したものです。治療を目的としてそのような装置を装着させる機会が多い我々歯科医師は,習慣性いびきやOSASに関する知識を深めるとともに,それに関する診査を,積極的に取り入れていく必要性があると考えられます。

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